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どうなる航空アライアンス (2) コンチネンタル航空のスター加盟と競争法適用除外の問題点
コンチネンタル航空(CO)は、今年10月にスカイチームからスターへ航空アライアンスを鞍替えした。 スカイチーム加盟のデルタ航空(DL)とノースウエスト航空(NW)が合併して世界一のメガキャリアとなったために、スカイの中の自分の影響力が弱まると考えたからだと言われている。 最終的な合併を視野に入れたスター加盟のユナイテッド航空(UA)との提携強化を考えたのかもしれない。 COは、合併は考えていないと言っているが、早々とUAとシステムのプラットフォーム統合に着手するなど、合併を勘ぐられるような動きを見せている。 COとUAが合併すればDL+NWよりも大きなメガが誕生することになる。 何しろ世界的な景気低迷で航空需要が激減し、財務的疲弊が激しくなって来た航空業界では、コンソリデーションがこの難局を乗り切る1つの有効な選択肢となりつつあるので、UA+COは荒唐無稽な話などでは全くない。
米運輸省は、今年7月に大西洋路線のスター加盟10社に対する競争法適用除外(ATI)を承認した。 そして、さらにスターのUA, CO, ルフトハンザ(LH)、エアーカナダ(AC)4社提携にもこれとは別にATIを認めている。(所謂アトランティック++) 大盤振る舞いだ。 ATIは、供給とスケジュール調整、運賃の共同設定、収入とその他のベネフィットの航空会社間の折半を認めている。 本来、これらの反競争的行為は競争法で禁止されているが、航空会社間の共同行為が却って消費者の利便性を増加するという理由で、敢えてATIが“ケースバイケース”によっては特別に承認されている。 消費者利便性の向上としては、(1) 補完し合う路線網、(2) 便利な調整されたスケジュール、(3)複数な旅程をまたぐ単一運賃、(4)乗り継ぎ便を含む単一搭乗手続き(所謂スルーチェックイン)、(5) コーディネートされたサービスとプロダクト標準、(6) 常顧客プログラム(FFP)の相互利用・・・と盛り沢山の利点が挙げられている。 米運輸省(DoT)は、スター・アライアンスが、共同行為のもたらす競争環境悪化リスクの増進よりも、これらの消費者利便性の向上の方がはるかに大きいと考えて、スターにATIを承認したと言っている。
しかし、スターのATIは、スンナリ認められた訳ではない。 米司法省(DoJ)は、これに強硬に反対した。 DoJは、この提携が競争を阻害して運賃値上げの機会を増加させ消費者の利便を損なうと、DoTと全く正反対の主張を展開している。 そしてATIが認められていない国内線に於ける競争法遵守義務の遂行にも疑問を呈している。 結局、最終承認権を有しているDoTが、DoJの主張を退けてスターに対するATIを承認した。(しかしDoTは、DoJの幾つかの指摘を受け入れて一部の路線をATIの対象外としている。)
アライアンスに対しては、DoJの他にも米下院の「運輸とインフラ委員会」がその見直しを要請している。 同委員会は、現在認められている全てのアライアンスを3年以内に一先ず廃止し、新しい厳しい基準の下に航空会社に再申請させる法案を準備した。 しかし、この法案は上院が認めず廃案となってしまった。 一方、欧州委員会も、アライアンスが公衆の利便向上に本当に貢献しているのかの正式なレビューを開始している。 大西洋の両岸で、アライアンスに対する懸念(競争を阻害しているという)が広まりつつあるようだ。
スターの大西洋路線におけるシェアーは、DoTによればCOの加盟による+8.5%ポイント加えて31.7%となる。 略三分の一のシェアーとなるので、この市場支配力は大きな威力を有している。 ニューヨーク地区におけるシェアーは50%を超える市場席巻の状態だ。 果たして、このような大きな地域的市場支配力を有したアライアンスに対して、ATIを承認して良いものなのだろうか?
ワンワールドのアメリカン航空(AA)と英国航空(BA)提携のATI申請は、ロンドン地区の市場支配力が強過ぎるとして、1997年と2001年の過去2回に亘って認められなかった。(ロンドン ヒースロー空港の発着枠の割譲が条件とされたために、ATI申請が取り下げられた。)
スターのニューヨークと、ワンワールドのロンドンのそれぞれの市場シェアーは、ATI承認でどのように区分されて勘案されたのだろうか? ここにATIの承認基準の曖昧さの大きな問題が存在する。
そのワンワールド*も、昨年8月にDoTに対してATIを申請している。 しかし今年10月末までに予定されていたDoTの承認可否の決定が何故か延期されている。 DoJとの調整が難航しているためなのだろうか? 欧州当局は、このATI適用に対して既に9月に異議を唱えている。 そしてヒースロー発着5路線とマドリッド発着2路線の合計7路線におけるワンワールドの過度の市場支配に懸念を示している。(*AA, BA, イベリア(IB)、フィンエアー(FN)、ロイヤル・ヨルダン(RJ)の5社)
スカイとスターにATIが認められて、大西洋路線で最小シェアー(20%)*のワンワールドにはこれを認めないなどの不公平な決定があり得るのだろうか?とワンワールドは言っている。(*スカイチームの大西洋路線シェアーは29%となる。)
国際間のM&Aが認められていないためにアライアンスが誕生し、そしてそれに対する場当たり的ともいえるATIの承認が行なわれ続けている。 DoTは、今まで米国とのオープンスカイ協定締結合意を条件にATIを認めて来た。 DoJが主張しているようにこれが消費者を阻害する反競争的とするならば、DoTは片方でオープンスカイによる航空自由化を促進させ、他方で競争を阻害するATIを認めるという、正に矛盾した自己撞着ともおぼしき政策を実施していることになる。 そろそろ、航空の分野にも、他産業でごく当たり前に行なわれている国際間のM&Aを認めなければならない時期に来ているようだ。 そもそも超法規的なATI承認には無理がある。 欧州域内では、域内の航空自由化が進展しているために、既にエールフランス(AF)+KLMとLH+Swissのメガキャリア2社が誕生している。 今月にはBA+IBの合併が合意されている。 そして、BAは、豪州のカンタス航空(QF)やAAとの合併も、同社の国際戦略展開の近い将来の選択肢の1つだと言っている。(H.U.)
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30 November 2009
Blog 牛場春夫の業界雑感
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